大腸がんの半数に腸内細菌の毒素が関与、予防法の開発へ

大阪大と東京大の研究で、日本人の大腸がんの約半数で大腸菌の毒素が遺伝子変異に関与していることが分かった。

今何が起きているか

大阪大学と東京大学の研究グループは、日本人の大腸がん患者の腫瘍を解析し、大腸菌が作り出す毒素が遺伝子変異を引き起こすことで発がんに関与しているケースが約半数に上るとの結果を発表した。特に40歳未満の患者では約7割で関連が認められた。研究チームは、この毒素の働きを抑える除菌などの予防法の開発を目指すとしている。

なぜ起きているか

特定の大腸菌が作る毒素はDNAに傷を付けることが知られており、研究グループは日本人患者の組織でこの毒素に特徴的な変異パターンを検出した。近年、若い世代で大腸がんが増えている背景に、食生活の変化などで腸内環境が変わったことが関係する可能性がある。

影響範囲

大腸がんの患者やリスクを抱える人にとって、新しい予防法や検診のあり方につながる可能性がある。発症年齢が若い層での関連が特に強いとされ、40歳未満の患者の診療や予防策の設計に影響を与えそうだ。

今後どうなりそうか

研究チームは毒素を作る大腸菌の除菌や、腸内環境を変える介入の有効性を検証する次の段階に進むとみられる。実用化には臨床試験が必要で、予防法として確立するまでには時間がかかる見通し。

今意識したほうがいいこと

大腸がん検診の受診時期や検査方法を確認しておく。若くても血便や便通の変化など気になる症状があれば放置せず、医療機関に相談する。腸内細菌の研究結果がすぐに個人の健康法に結び付くわけではない点に留意する。

社会への影響

がん予防の考え方を「早期発見」から「発症前に取り除く」方向へ広げる可能性がある。腸内細菌とがんの関係は国内でも関心が高く、検診制度や予防医療の議論に影響を与えそうだ。